(untitled)

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雪のように降る。
ひらり、
焼け焦げた睫毛は
彼女が瞼を上下するたび、
きらきらと散った。

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「決めきれないのは世界ではなくお前自身だよ、イーデルト・クローデリア。世界に答えを委ねてはいけない。急かしはしないが、いずれ決めねばならないことだ。でないと、世界そのものにお前は呑まれてしまう」

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あの夕空にちかづきたくって

塔の上のおんなのこ

「ありがとう、ハイデル。またね」
 娘は春風のように荒々しく彼の頬へ唇を寄せると、踵をかえしてかけていった。耳も首もまっかにして、おさげを翻し走り去る。
「あー」
 ハイデルは呻いた。されたのだ、とそれだけしか感想がなく。
 彼にとって抱き着かれたり頬にキスをされただけで顔をあからめていた時代はもっとずっとまえにすぎさった。彼のよく知る少女がことあるごとにやわらかにその淡いろの唇を押し付けたものだから。
 塔の上の友人がきひひと笑う声が聞こえたような気がした。